住まいの文化賞Housing Culture Award

講評

木造、一部補強コンクリートブロック造の2階建てで、敷地内に建てられた平屋建ての設計事務所と浴室・便所・洗面所以外は地元の杉を無塗装でふんだんに使い、開放的な内部空間を構成していますが、ソーラーシステムの採用により、温かな内部環境を実現しています。そのための建具の構成やディテールなど、工夫の跡が随所にうかがえます。天然索材へのこだわりは健康を重視した環境との共生思想に立脚しており、材料の選定に当たっては、家族で実際に山へ見に行ったということでした。また無塗装仕上げと開放的な空間構成による循環する動線や視界の広がりは、子育てと家族の日常の生活観についての主張に立脚しています。
こういった主張は、そこに実際に身を置けば索直に実感することができるほど建物と空間に自然に現われています。
この建物から生活、子どもの教育まで通された一つの筋が、全体としてとりわけ新しい時代に向けた暮らしについての明快な提案となっているところが高く評価され、今年のテーマである「人と環境にやさしい　快適住まい」に最もふさわしいものとして最優秀賞が認められました。