住まいの文化賞Housing Culture Award

講評

第一次審査では、建築主のコメントを重要視し検討しているが、この住宅の応募書類には住まいのコンセプトと自らの細部に至るライフスタイルの調査、分析が述べられ、その上着工から竣工までの写真も添付されていた。工事に入ってからも塗装やクリーニングなど家族全員が参加され、住宅を建てるに当たって建築主の並々ならぬ思い入れが最優秀賞の評価の対象の一因ともなった。家族にとって何が好きで何が我慢できないか、住まいは家族全員の集大成、納得いく住まいでありたいとの思いが強い。追求してみてみると、家族の行動の動線上に収納があり、必要な物だけが登場し、常にシンプルで美しく住みたい、その思想が建築主のコンセプトとなった。玄関脇には広い収納スペースと雑庫があり、台所は流し台を中心に三方収納棚で囲まれ、ごみ置場、パソコンコーナーも用意されていて使いやすそうだ。浴室と洗濯室は収納棚で分離しているが棚に入れた洗濯物は隣の洗濯室から取り出せて便利だ。この洗濯室は南に位證し物干し台に直結している。断熱，採光、通風は申し分ないし、深い庇下の生活も楽しめる。設計者も建築主の意向を良く理解し協力しているところが読み取れる。