受賞者の声VOICE

(株)平成建設

「風景」を引き立てる癒しの住まい

 熱海は海と温泉が楽しめる、別荘地としても人気のエリアだ。その高台で、近隣には樹木が生い茂る閑静な場所に「一休庵」は建つ。一見シンプルな平屋ながら、とても手の込んだ造りになっている。この住宅を手がけたのが、沼津市に本社を構える「株式会社平成建設」。設計士の和知祐樹氏は、これまでにグッドデザイン賞を複数回受賞している、実力派だ。「この土地の主役は、熱海湾を望む『風景』です。建物はそれをいかに引き立てるかを考えて、設計しました。」と、和知氏は語る。家の中央に位置するリビングは、間仕切りがなく広々としており、大開口からは開放感たっぷりの景色を楽しめる。和室、寝室、浴室からも海が見える設計となっているため、温泉に浸かりながら海を眺められる。まさに熱海の良さを満喫できる、癒しの住まいだ。

設計から施工まで一括サポート200名以上の多能工職人が在籍

 お施主様は細部にまでこだわりを持っており、和知氏はそれらを取り入れながら、より住まい手のライフスタイルに合う設計を提案したという。というのも、お施主様は普段は東京で働いているため、この家は無人となる時間が長い。建物を長持ちさせるためにも、「人がいないとき」をどうデザインするのかが課題となった。

 そこで、海からの風が良く通る立地を生かして建物の配置を決めて、建物が呼吸できるように、日本の伝統建築の技法でもある無双窓を採用。細部は綿密に、空間はおおらかに。自然の力を利用することで、省エネルギーも実現した。細かな希望にも対応できたのは、設計から施工まで一括で請け負う、平成建設だからこそ。設計士も大工も同じ社員ゆえ密に話し合うことができ、さらに200名以上の多能工職人を自社で抱えているため、よりスムーズで質の高い施工が可能なのだ。

「ものづくりの喜び」をお客様と分かち合いたい

 大工監督を務める土屋和之氏は、「常にお客様の方に目を向けて、仕事をしています。」と言う。設計の段階から大工や職人が携わり、その知識や経験をもとに細かなアドバイスをしながら、お客様の希望をできる限り形にしていく。このスタイルは、住まい手と設計者、施工者が次第に想いをひとつにし、一緒に家を作り上げていく喜びを分かち合うことができる。だからこそ、「建築主・設計者・施工者」の三者を表彰する「静岡県住まいの文化賞」には、和知氏も土屋氏もとても共感しているのだという。「静岡を拠点とする弊社にとって、この賞には特別な思いがあります。写真や図面だけではなく、審査員の方が実際に現地を訪れて審査する方式も、他にはあまりありません。その点でも、大変やりがいがあります。」
和知氏に、家づくりに対する想いについて尋ねてみた。「引き渡しを完成と捉えるのではなく、その先の未来を見据えて、自然素材が少しずつ色や風合いを変えていく様子なども心地よく楽しめる空間づくりを心がけています。」
 住まいのあり方は、今後ますます多様化していくことだろう。その中で、東京から近い静岡という立地は、大きな可能性を秘めていると感じている、と和知氏は語る。時代の流行になびかない建築を作りたい、という氏の想いは、必ずや長い人生に寄り添う住まいを叶えてくれることだろう。

第27回受賞作品について

『一休庵』

完成年 2019年4月 規模 木造・平屋125㎡ 構造 木造
作品概要 熱海の高台に建つ「一休庵」は、周囲の景観をも取り込み、熱海湾を一望する空間設計が特徴。雁行型の建物は外観の美しさに加え、構造的も優れている。木製のサッシなどディテールにもこだわりが詰まっている。
お施主様の声 ご担当者はじめ、平成建設の皆様は誠実で感じが良く、安心して任せられました。希望通り、眺望を最大限に生かした、風や気の通りを感じられる心地よい家になりました。開放的な高い天井と、落ち着きのある上品な木のデザインが気に入っています。

(株)平成建設

和知 祐樹 氏
土屋 和之 氏
【本社】
〒410-0022 静岡県沼津市1540-1
TEL: 055-962-1000
ホームページ: https://www.heiseikensetu.co.jp/